私が天神の屋台でつい頼みたくなるのが、おでんのちくわです。実はちくわは人体の基本構造を漢方的に彷彿させる形なのです。まず、表面の少しこげた皮状の部分、次に食べる身の部分、そして中空の管状構造、これらは口から食べ物が入って、肛門から便が排出される基本構造として見る事が出来ます。体表面の皮膚、関節などに相当するちくわの皮の部分を漢方では「表(ひょう)」とよび、消化管に相当する中空の部分を「裏(り)」と呼んでいます。
リウマチ性多発筋痛症と言う病気があります。リウマチの反応はないのに頚、肩などに強い痛みと炎症反応を生じる病気で、副腎皮質ステロイド剤が一般的な治療法です。漢方ではこのとき、有名な葛根湯(かっこんとう)をしばしば用います。あれ、葛根湯って風邪の薬じゃないの?という方が多いと思いますが、風邪以外にも体表面である「表(ひょう)」に病態がある、様々な炎症によく使います。中耳炎、扁桃腺炎、副鼻腔炎、乳腺炎、あるいはじんましんなどにも用います。リウマチ性多発筋痛症では局所の冷えやむくみも伴いますので、温熱産生作用のある生薬や腫れを除く作用のある生薬を加えて、抗炎症作用を高めて用います。