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ももち東洋クリニック

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コラム

高齢者の歯周炎に排膿散及湯処方選択は口腔内の状態がキーポイント

意外に思われるかもしれませんが、歯科領域でも漢方薬は歯の疼痛、歯肉のうっ血・化膿状態に応じてさまざまな処方が用意されています。

今回は脳梗塞を発症後、膿性で腐敗臭を伴っていた流涎が減少、膿性から白色粘稠の唾液、量も少量へと変化し、腐敗臭も軽減、消失するという経過を辿った一症例を紹介いたします。

症例は88歳の女性で、主訴は歯槽膿漏と左片麻痺です。既往歴では50歳代に子宮筋腫切除、78歳頃白内障の手術、82歳で腰椎圧迫骨折があります。また父が肺炎、母が卵巣癌の家族歴があります。

【現病歴】
X-4年より健忘症状が出現し、アルツハイマー病の診断を受けました。X-1年より徘徊があり、X年5月に転倒して左大腿骨骨折を受傷し、骨接合術を受けました。同年11月左片麻痺が出現し、脳梗塞の診断で加療を受け、リハビリ目的で12月に転院となりました。

【現症】
血圧96/- mmHg、脈拍62/分、リズム不整。体温36.2℃、体重33kg。診察に際し全身に力をいれ、険しい顔つきで手で振り払う動作があります。左膝関節は屈曲拘縮を認め、はっきりした発語はありませんが、うなり声を軽度認めます。強い口臭があり、また口角より黄色膿性の流涎を認めました。

【漢方医学的所見】
自覚症状に関しては不明で、診察時には興奮した印象を受けます。脈候は硬い脈で弱、舌候は不明。腹候は腹力弱で腹直筋緊張、小腹不仁がうかがわれました。

【入院後経過】
拒否的な様子から、「怒」とみてツムラ抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)(TJ-83)5.0g/日を投与しました。(ちなみに、2000年より前の話ですので、岩崎鋼先生らの抑肝散のEBMも無い時代です)

リハビリでは関節可動域訓練、座位訓練などを行いましたが、拒否的傾向は続きました。口腔ケアに対しても拒否的で日々の処置には難渋し、観察は困難ながら歯肉は発赤、出血を認め、残存した歯根やブリッジ状の義歯などが歯周炎を悪化させているものと思われました。口腔からの膿性流涎のため胸元にタオルを置いておく必要がありましたが、歯科の先生の診察によると今すぐに処置をする必要はなく、日々の口腔ケアを充実させて欲しいとの事でした。

その後、X+1年3月に左の中大脳領域の脳梗塞を発症し、点滴などを行いましたが、それ以降は経口摂取が不能となり、残念ながら経鼻経管栄養となりました。口腔からの膿性で腐敗臭を伴う流涎は持続し、その他に、しばしば膿尿を認め、抗生剤の内服も時に必要としました。こうした感染、炎症の傾向が強いため、6月より、ツムラ排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)(TJ-122)5.0g/日を開始しました。2週間ほどして膿性唾液は減少傾向となり、4週間ほどの経過で、膿性から白色粘稠の唾液が少量へと変化し、近寄った時の腐敗臭も軽減、消失しました。

さて、歯科領域の漢方薬としては、まず立効散(リッコウサン)が挙げられます。立効散は細辛(サイシン)、升麻(ショウマ)、防風(ボウフウ)、甘草(カンゾウ)、竜胆(リュウタン)からなり、升麻、竜胆の苦味はやや飲みにくさを増しますが、細辛のしびれるような辛さが鎮痛効果を示し、歯の疼痛に有効なことがあります。一方、歯肉が炎症を起こした状態は一種のオ血状態とも考えられ、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)や桂枝茯苓丸加ヨク苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)などの駆オ血剤が適応となることがあります。さらには急迫を治する甘草を主とした桔梗湯(キキョウトウ)(桔梗、甘草の2味)、あるいはまた、化膿性の変化がより強いときは桔梗湯を骨格とした排膿散及湯が適応となることがあります。口腔内の病態はちょうど少陽病期に相当するととらえて、柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)などの柴胡剤の併用もしばしば有効です。口腔ケアと云う「局所療法」なしに漢方治療を優先すべきではありませんが、十分な口腔ケアにても問題を有する場合では、漢方治療は期待できると思います。 (田原)

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